千井から話は聞いていた。
養護教諭の氷高先生は、美人で生徒に対してもフレンドリーに接すると。
でも、他人事だと思っていた。
保健室なんて、行くわけないと思っていたから。
……けど、人生なにが起きるかわからないってこーゆーことだと思う。
「……なんで俺が千住伽夜だって、わかったんですか」
「目立つ銀色の髪に染めてる子なんて、この学校にはひとりしかいないわよ」
それもそうか、とその言葉に思わず納得。
この銀髪が、いつの間にか俺たらしめんとしている。
「いやあ、呼んだはいいけど、何しよっか。あ、トランプでもする?」
保健室に通した氷高あかねは、自分のバックから、自前のトランプを取り出した。
なんでカバンにトランプが入ってるんだ……?
その時は、生憎と言っていいのか利用者はおらず。
「……説教とか、しないんだな」
「え?説教?されたいの?」
「……意味のないことは聞きたくない」
「ならいーじゃん。トランプしよ」
この時から、氷高あかねはなぜか俺に執拗に絡んでくるようになった。



