今夜はずっと、離してあげない。





違和感があった。

ほんとうに、彼は、おかあさんみたいなやさしさを持っているな、と。



実際、その通りだったのだろう。

義務感からくるやさしさは、あんな風なやさしさになっていくんだと思う。




「千住サマ。話していなかったので、私も話します。知っているとは思いますが、私の実の両親は、私が小学6年生の時に、他界しました。交通事故です」




これも、春の日だった。

あたたかい、春の日。




「縁あって、父方の従妹であるあかねさんの家に引き取られて、あの家に住み始めました」




最初は、両親がいなくなったことを受け止めきれなくて、荒れた。

やさしくしてくれるあかねさんにも、反抗的な態度ばかりとって。


今になって思えば、なんて恩知らずな子供だろうと思う。



けれどあかねさんは、辛抱強く私に構って、構って、構って。時々一緒にコンビニで買った肉まんを半分こにしたりして。



いつの間にか、だいすきになっていた。