今夜はずっと、離してあげない。






「はあーっ。すごい楽しかったですね!文化祭!」

「……氷高オマエ、ほんとは性格悪いだろ」




帰り道。

あの思い入れのある公園付近で、いまだに思い出し笑いをする私を上からじろりと睨んでくる。


けど、今は全然怖くない。




「千井をあんまり怒らないであげてくださいね。私が無理やり行っただけですから」

「それを阻止するように千井に頼んどいたんだけど」




ぶっすー、と不貞腐れながらも、歩くスピードはいつもよりゆったりめ。

私の足を配慮してのことだろう。
千住サマ、人のことばっかりだから。


……はーあ。ほんと、わらったなあ。

一生分くらい、わらった。




「千住サマ。家に、帰らないんですか?」




おかげで、ようやく切り出す決心がついたよ。

ありがと、千井。




「……今帰ってる」

「違いますよ。私の家ではなくて、ご自分の。千住サマの家にです」

「だから、家は燃えたって、」

「今日、千住サマのお母様、来てました。あなたの姿を見に」




そう言った瞬間、歩いていた彼の足が、止まった。