「え、あ、え、あの、」
余裕で頬を包んだ掌は、擦り寄るでもなく、かといって撫でるわけでもなく。
ただ添えられただけのよう。
きょどって慌てる私とは違い、至って千住サマは平然としてる。
……いや、
「……ひだか、けがは?」
「え、ない、ですけど」
「ほんとうに?なぐられたりは?けられたり、」
「な、ないですって」
「暴言はかれたり、」
「ぼ、暴言?う、うーんっと、」
はちゃめちゃに、心配されている。
顔は顰められているものの、照れている、とかのものではない気がする。
「な、ないと思いますけど、」
「ほんとうに?」
「ほ、ほんとうです」
「ほんとうのほんとう?」
「ほんとうのほんとうの本当に、です!千住サマ、ちょっとしつこ──────、」
続けようとした言葉は、喉の奥に詰まって消える。
とす、と頭の上に腕が乗り、そのまた上から額が乗ったから。



