今夜はずっと、離してあげない。




……なんてことを聞く勇気は、残念ながら持ち合わせていない。



踏み込まない。だから、相手も踏み込んでこない。

それが、暗黙の了解みたいなもの。



「……ごちそうさま、でした」

「ん。……ほら、もうねろ」



お粥をサイドテーブルに置いた千住サマは、まだここにいるつもりらしい。

ごろん、と寝転がった私と視線が合うように、ベッドのそばに座っている。


はじめて会ったあの時のような、絵面。

いまは、立場逆転しちゃってるけど。




「ちずみ、さま」

「……なに」




そっけないようで、やさしい声音。

表情も、態度も。
なんなら吐く言葉さえ、いつも通りなのに。


彼から放たれる空気が、雰囲気が。

やさしくて、ふわふわな綿毛を連想させるものなんだから、矛盾しまくってる。