今夜はずっと、離してあげない。




「……え、えっ?」



あれ。わたし、風邪で幻覚でも見えるようになった?それはかなり重傷だな。めをさませ。


ぺちぺち、ぐわんぐわんする頭を活性化させようと、頬をかるくたたいていたら、その手を掴まれてしまった。


その顔は、いつもと同じように。……ううん。いつも以上に顰められていた。




「おい、風邪ひいてんのにたたくな。頭へんになるぞ」




え、




「エスパー……?」

「お前に関しては、俺はエスパーになれんだよ」




思わずぽろっと出た言葉に、まさかの肯定を返された。


雨が降ってきそうな、あやしい雲行き。

普段なら家で待っていてくれているハズの千住サマが、私のバイト先であるお店の裏口前で、待っていた事実。


たった、これだけなのに。


……風邪のせいで、なきそうになった。