「ハルはどこか行きたいところ、ある?」
「んー。……教会、行きたいなぁ」
そうして、神様に無事、結婚一周年を迎えられたと報告したい。
「後、小さい頃に遊びに行った湖のある公園とか」
「行ったね〜! 懐かしい」
「それから、なんて言う名前だっけ? 古い洋館とかあったよね?」
「あるある。本当にデートコースだな」
そう言われると、恥ずかしくなる。
でも、日々の生活にいっぱいいっぱいで、わたしたちはろくにデートもしていない。しかも気軽に旅行に行ける身体でもないから、新婚旅行すら行っていなくて……。
せめて、いつもの別荘とは言え、雰囲気くらい味わいたいなって。
「……イヤ?」
「まさか!」
カナはわたしが何を言っても、大抵は嬉しそうに聞いてくれるから、逆に心配になる。
「ハルと一緒に行けるなら、オレはどこでもすっごく幸せ」
今日も、とろけるような笑顔でカナは言う。
「あ、誤解しないでね。どこでもいいって言うんじゃなくて、ハルと一緒に見る景色は、どんなものでもオレにとっては最高の宝物って意味だからね?」
恥ずかしくなるようなストレートなカナの言葉。でも、何でかな。今日は素直に受け取ることができた。
「ありがとう」
にこりと笑うと、カナも幸せそうに笑い返してくれた。
「お嬢様、お食事はもうおしまいですか? デザートにします?」
沙代さんに言われて器を見ると、小ぶりなお椀に卵がゆが半分くらい残っていた。
「ハル、無理しないでいいからね。食べれるだけね?」
「うん。……後少しだけ食べようかな」
動いていないからお腹は空かない。だけど、食べなきゃ栄養が足りないのも本当。少しでも食べるようにしていかなきゃ、夏休みの後半もベッドで過ごすことになりかねない。
「頑張るね」
思わず言うと、
「頑張らなくて良いから」
とカナが笑った。
☆ ☆ ☆
「んー。……教会、行きたいなぁ」
そうして、神様に無事、結婚一周年を迎えられたと報告したい。
「後、小さい頃に遊びに行った湖のある公園とか」
「行ったね〜! 懐かしい」
「それから、なんて言う名前だっけ? 古い洋館とかあったよね?」
「あるある。本当にデートコースだな」
そう言われると、恥ずかしくなる。
でも、日々の生活にいっぱいいっぱいで、わたしたちはろくにデートもしていない。しかも気軽に旅行に行ける身体でもないから、新婚旅行すら行っていなくて……。
せめて、いつもの別荘とは言え、雰囲気くらい味わいたいなって。
「……イヤ?」
「まさか!」
カナはわたしが何を言っても、大抵は嬉しそうに聞いてくれるから、逆に心配になる。
「ハルと一緒に行けるなら、オレはどこでもすっごく幸せ」
今日も、とろけるような笑顔でカナは言う。
「あ、誤解しないでね。どこでもいいって言うんじゃなくて、ハルと一緒に見る景色は、どんなものでもオレにとっては最高の宝物って意味だからね?」
恥ずかしくなるようなストレートなカナの言葉。でも、何でかな。今日は素直に受け取ることができた。
「ありがとう」
にこりと笑うと、カナも幸せそうに笑い返してくれた。
「お嬢様、お食事はもうおしまいですか? デザートにします?」
沙代さんに言われて器を見ると、小ぶりなお椀に卵がゆが半分くらい残っていた。
「ハル、無理しないでいいからね。食べれるだけね?」
「うん。……後少しだけ食べようかな」
動いていないからお腹は空かない。だけど、食べなきゃ栄養が足りないのも本当。少しでも食べるようにしていかなきゃ、夏休みの後半もベッドで過ごすことになりかねない。
「頑張るね」
思わず言うと、
「頑張らなくて良いから」
とカナが笑った。
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