これは、数十年前の話になる。

 俺が、結輝の事を好きになった時の話だ。



 放課後の教室、俺はいじめられて泣いていた。

 そこを謎に結輝が現れて、優しく抱きしめてくれた。



 ギュッと抱きしめられた感覚は、とにかく心地が良かった。



“一目惚れ”

 した自覚なんてこれっぽっちもなかった。


 のに、心臓がうるさ過ぎて仕方がなくなってきたんだ。



 あんなに綺麗で優しい生き物に触れた覚えなど無く、死ぬほど安心でき、自分のモノにしたいと思ったんだ。