千瀬……?

「ゆ、き……?」

 千瀬は、手を丸くして、私達を見つめる。

「違うの千瀬!!勘違い!!ね?都夜くん、離してっ……?」

「ヤダ……」

「もういい」

 千瀬は、その言葉を残して、何処かへ去って行ってしまった。

 ……嘘、でじょ……?

 ドクッドクッドクッドクッ———

 心臓が、不安な音を立てて仕方がない。

「都夜くん!寂しくなっちゃっただけだよね?そうだよね?」

「違う、せんせぃが好き」

「それは、先生として?」

 そもそも先生でもないけど……。

「恋愛感情」




 都夜くんはハッキリ言いました。

 恋愛感情だって。

 どうすればいいんだろう。


 私、千瀬にはどっかに行かれちゃって、都夜くんとはまずい雰囲気になってしまった……。

「ありがと、せんせ。もう帰るから、あと、スマホなかったでしょ?元々渡そうと思ったんだ」

 都夜くんが出したモノは、間違えなく私のスマートホン。


「ありがとう……」

 私がそう言うと、都夜くんは、学校へと行ってしまったのだった。