出発の日。空港で、ペコのみんなが私の見送りに来てくれた。

当然と言うか、ルナの姿はなかった。

「僕、今度会ったら、琴葉ちゃんより大きくなるよ! 牛乳いっぱい飲むからね!」

颯太君が私に抱きつく。

「颯太君も学校頑張って」

私は柔らかな髪をなでる。

「ほんとあんとき、琴葉を拾ってよかったわ。俺、しんみりすんの大嫌いなんだけどさ…」と将冴さんは涙を流した。

「私も、あのとき将冴さんに出会えてよかった」

あの出会いがなかったら、今の私はなかったから。

「俺、ピアノとか興味ねぇから難しいことは分からねぇけど」と篤史さん。

「例外っつーか。琴葉のピアノは大好きだから。諦めんなよな」

篤史さんが顔を背ける。あれ? チラッと涙みたいなのが見えたけど、気のせいだよね。