夜。麗於さんと将冴さんに呼び出された。

「このココアをあいつに飲ませてほしい」

妙に真剣な顔で将冴さんが言う。

あいつとはルナのことだ。ルナは今、自分の部屋にいる。

「いいですけど、何でですか?」

「強力な睡眠薬が入っているんです」と麗於さん。

「先日、ルナの睡眠障害のことでお医者さんに相談しましてね。そこで処方された薬なのですが、強力な分、依存性が強いため、ルナは飲みたがらないんです」

将冴さんはうつむく。麗於さんも冷静そうだけど、悔しさがにじみ出ていた。

「ルナに強要するってことですか?」

本人は飲みたがってないのに。

「そうも言ってられないのです」と麗於さん。

「琴葉にはよく説明してなかったけど、あいつの体はもう限界なんだ。まともに寝てねぇのに、GLEAMとの抗争で駆けずり回ってる。そろそろ休ませねぇと、本当に死んじまう」