箱崎桃にはヒミツがある

 このショッピングモール内もランウェイを歩くように颯爽と歩けば、みんなが振り返るに違いない。

 ……いや、歩かなくていいんだが、と何故か思ってしまう。

 このままの桃の方が落ち着くからか、それとも……。

「先生、お昼もう食べられました?
 まだでしたら、昨日、来てくださったお礼に奢りますよ」
と桃は笑いかけてくる。

「いや、俺に奢らせてくれ」
と貢は言った。

「チケット、もらってしまったからな」

 いやいや、まあまあ、とどっちが奢るかで揉めながら、二人で書店を出る。

 とりあえず、和食が食べたいな、という話で一致した。

「あ、じゃあ、屋上庭園にある料亭はどうですか?
 ランチもなかなかいいらしいですよ」

「……それ、週末、見合いで行く予定のところだろうが」

「そうでしたね……。
 やめときます?」
と桃は言ったが、結局、まあいいか、ということになり、エスカレーターで屋上庭園に行った。