それはまさしく、いじめられっ子時代に培った第六感だった。

悲しくもその第六感は狂っていなかったことがいま証明されているわけで。





「俺のためにも、これからもずっと泣き虫なヤオでいてね」

「ぅ……っ、もうかえるっ……!」

「だーめだって。まだヤオの泣き顔みてたいから」

「ハギくんの変態!」




けっきょく5分どころじゃすまなくて、お昼休みが終わるぎりぎりまでこの教室にいた。


せっかく手順を思い出したネクタイも、動揺しすぎてぐしゃぐしゃにしか結べなかった。




放課後に偶然見かけたハギくんはきっと、生徒指導室にむかう途中だったんだと思う。


友達にでも頼んだのか、そのネクタイはきれいに結びなおされていた。




なんだ。ほかに頼める人いるんじゃんか。


このとき、わたしが思ったことはすべて見当ちがいだったわけだけど。


もちろんそんなことは知るよしもない。