……あれ?なんかちがう気がする。
ヘンな名前だね、だったっけ。
思い出せないけどたしかそんな感じだったと思う。
ネクタイをさらに手繰られ、うんと距離が近くなる。
ふわりとハギくんの香りが頭のなかを支配した。
「っねえ、だから……!」
「だから?」
ハギくんはこの近さになにも感じない?
わたしが慣れてないだけ?
それともハギくんが慣れてるだけ?
「は、ハギくんはこんなの、誰にだってできるかもしれないけどさぁ……!」
わたしの涙腺は、いろいろな感情と連動している。
いや……連動して、いた。
小さいときは怖くて泣いていることが多かったけど、今はちがう。
「ハギくんからしたら、かるいスキンシップかもしれないけど……わたしは、わたしは慣れてないのっ……ぜんぶ、ハギくんが初めてなんだよ……?」



