「風紀委員のくせに。そんなんで大丈夫?」
「うっ、……ハギくんはつむじ見てて」
「押していい?」
「だめ」
のぞき込まれるとどうしても顔が視界に入るから緊張してしまう。
……かくなる上は。
「ごめん、いっかい練習させて?」
しゅるりとネクタイをいったん外してハギくんから離れる。
なんだか見られるのは恥ずかしいから、後ろを向いて自分の首にネクタイをまわした。
「ヤオ」
「ん、……もうちょっと」
ここをこうして、それでこうでしょ……
で、
…………こうだ!
やっぱり自分の向きだったらわかりやすい。
すぐに結ぶことができたし、手順もしっかり思い出せた。
「できたよ!」
「ましろ」
うれしくなって振り向いたのと同時だった。
結んだばかりのネクタイをぐいっと引っ張られ、こつんと頭をぶつけられる。
そして……
まるで息を吐くように、言葉を落とされたのだった。
「俺と一緒にいんのにそっぽ向くとか、
……いい度胸してんじゃん」



