キス、涙々。



この教室、日当たりがよくてぽかぽかしてる。


縁側でまどろむ猫のようになっているハギくんは、わたしの荒れ狂う心情も知らずにあくびをひとつ落とした。



相変わらずマイペース……


ゴーイングマイウェイとはまさにこのこと。




でも、できないでもなかった。


がんばったらこの体勢でもネクタイは結べる。



結べる……けど、そのためには身体を回転させる必要があった。


つまりハギくんのほうを向かなきゃいけない。



こんなド間近で。




「……し、失礼します」

「どーぞ」



覚悟を決めてくるりと身を返す。






……あ、思ってたより平気、かも?