キス、涙々。




校舎の端っこ。

誰もいない教室に押し込まれる。


ここは元々使われていない教室なのか机の数も少なかった。


そのうちのひとつに腰掛けたハギくんが、ゆったりと首をかしげて立ちっぱなしのわたしの顔をのぞきこむ。




「ヤオ、帰りたくないの?」

「……うん」



すこし迷ってこくりと頷けば、ハギくんは「そっか」とだけ言った。


それ以上の理由は聞かれなかったけど、なんとなくは察しているんだろう。



さっきの女の子たちの声はきっとハギくんにも聞こえている。


わたしが女子たちに嫌われていることもきっと知られている。