なにかを言おうとしたら、その前にハギくんが離れていった。 「帰ろうか」 「いや、ツバキくん……」 「……父さんはもういない。俺は父さんと母さんの子どもの、さくらなんだよ。……帰ろう。家に帰ろう、母さん」 去っていくふたつの背中をいつまでも見つめる。 伸びた影は重なるように交わっているのに、ふたりの距離は不自然に空いていた。 まだ受け入れられない。 そんな現実が、想いが。 ひしひしと伝わってくるのを感じた。