キス、涙々。



「好きだからね」



そんなに……


ないとおもうけど。100%、絶対、おそらく、ないと思うけど。


泣き顔のアルバム集つくってたらさすがに注意しなくちゃ。



……ないと思うけど!



そのときハギくんのポケットからスマホが鳴った。


すっと取り出した画面をみて、ハギくんは立ちあがった。

どこかへ行くつもりだ。



「待って……わたしも、行く」

「俺なにも言ってないけど?」

「それでも、行く。わたしも行かなきゃ、だめなの」


わたしはハギくんの袖をぎゅっとつかんで懇願した。



「お願い。つれてって」

「怖くないの?」

「こわいよ。でも、もう逃げたくないから」


涙をぬぐったわたしの、もう片方の目尻をそっと指でぬぐわれる。



「忘れ物はない?」


そのひとことに込められた、たくさんの意味。


わたしは差し出された手を見つめながら、こくりとうなずいた。



「ない」