「あの、ネコさん。これ、お願いします」



『!!』


おずおずとカードを差し出せば、ネコさんはオーバーリアクションをしてみせた。


表情なんてわからないのに、頭上にびっくりマークが浮かんでみえる。



『!、!…!!』

「え、あ、う……ひゃっ!?」



ぎゅう、っと。

着ぐるみに抱きしめられたのは初めてだった。


遊園地でもされたことないし、どう反応していいのかわからない。




『だい……、しろ……だよ』


ネコさんはなにかぶつぶつ言っていた。


だけどそれは独り言のようで、さらに声もこもっていてよく聞き取れない。



「えっと……」


着ぐるみの中、どんな人が入ってるんだろう。

ヘタなこともできず棒立ちになっていたら、そのうち向こうから離れてくれた。




『♪』


そして何事もなかったかのように一個目のスタンプを押してくれたネコさんは、ばいばいとかわいらしく手を振って、去っていったのだった。