そして、部屋にある鈴くんへのプレゼントを出して、鈴くんに「お誕生日おめでとう」と言って渡した。

「わぁ!!ありがとう!!」

 嘘偽りのない笑みを見せてくれた鈴くんに、余計に胸が痛んだ。

「うん……」

「……結乃、元気ない」

「へっ?あ、そ、そんなことないよ?」

「じゃあ、チョコ、欲しい」

「えっ……?」

「え?」

 お互いに、ハテナマークが頭に浮かんでいるようだった。

「きょ、今日、いらないって言ってなかった?」

「それは、結乃が僕の話を遮ったからだよ。本当は、結乃のチョコだけは欲しいって言おうとしたんだよ?やっぱりなんか誤解してたよね?」

「あ、うん……、そうみたい」

「ふふっ、大丈夫だよ。チョコ、あるんでしょ?ちょーだい?」

「う、うん……!」

 な、なんかいっぽう的に誤解してしまっていた……。

「ご、ごめんね鈴くん」

「ん?なにが?ふふっ、僕は誕生日、結乃と過ごせてよかったよ」

「ううっ……鈴くん!」

 思わずギュッと鈴くんに抱きついた。

「あいがとう……」

「うん、あ、あともう一つ欲しいプレゼントがあるんだけど、いい?」

「うん?なぁに?買えるかわからないけど……」

「結乃」

「へっ?」

 いま、結乃って……。

「結乃が、欲しい」

「う、うん、いいよ?」

「はぁ……じゃあ、キスをちょーだい」

「へっ!?う、うん……」

 誕生日だからと思い、素直にキスをすることにした。

 チュッ。

 私の部屋にリップ音が響き渡った。

「ふふっ、可愛い」

「っ……」

「あ、またチョコキスしよっか?」

「えっ!?」

 あ、あれは、恥ずかしすぎる……!!


 でもそれから、私達はバレンタインで一番甘ぁいチョコキスをしたのでした。



【番外編】end