「結乃〜!」

「あっ……鈴くん……」

「ご、ごめんね、チョコ結構もらっちゃって、来るのに時間かかった……」

「はぁ……」と深くため息をついた鈴くん。

 あは、は……。

 そんなに多かったんだと思いながらも、鈴くんが持っていたダンボール箱を見ると、いまにも溢れそうなぐらいのチョコレートが入っていた。

「……こんなの、いらないのに……僕は——」

「大変だね……」

「あ、うん」

 こんなのいらないのにって言ってた……。

 やっぱり、誕生日プレゼントだけ渡そうかな……?

 そうだよね、こんなに貰っておいて、私からも貰ったら食べ切らないよね……。

「あっ、もうすぐ授業始まるね、もう戻った方がいいんじゃない?」

「あ、うん。じゃあね。」

「バイバイ〜」

 はぁ……。

 なんとなく、態度がそっけなかったかな……?

 どうしよう、鈴くんに罪悪感を被せちゃったら……。

 はぁ……。

 なんて言うかもう、色々と……。

 たくさんため息をついていれば、いつちゃんが近くに寄って来てくれた。

「どう?」

「それが……なんか、不安で……」

「不安?どうしたのよ?」

「あの……あ!授業始まる!またあとで、ね?」

「あ、ああ……いいわよ」

 授業が始まるということで誤魔化して、いつちゃんまでを避けてしまったような気がした……。

 なぜ言いたくなかったかというと、「大丈夫よ!」って言ってくれそうだったから……。

 はぁ……。

 そんな感じでいつちゃんには言わず、放課後を迎えてしまった。


「結乃〜!」

「あっ……鈴くん」

「どこ行く?用事ってなぁに?」

「あ、プレゼント渡したくて……一回家に帰ってからでもいい?」

「えー、僕も一緒に行っちゃダメ?」

「え、えっと……いい、よ」

「えへへ、よかった」

 こんな時なのに、鈴くんがすごく可愛い!と思ってしまった。