「大丈夫ですよ、家で父さんと母さんがイチャついてるところ何回も見たことありますから」

「そっか、ならよかったよ」

 そう言って、笑みを見せた。

「り、鈴くん……、目の前見えなっ——-」

 あっ……気絶しちゃった。

「まぁ、やりすぎるとこうなるから気をつけて。キスでも十分に気絶するから」

「は、はい」

「見て、めちゃくちゃ可愛いでしょ、もう天使だよね」

「ゆ、結乃さん美人ですよね。まぁ、乃音の方が勝ってるけど」

「乃音も可愛いことは否定しないけど、結乃だってすごい可愛いから」

「はい、わかってますよ」

 そう微笑んできたユキセに、少しイラだった。

 あーコイツにもしかしたら乃音を取られるんだな……。

 いや、もしかしたらじゃない。

 ほぼ確実だ……。

「あの、乃音にそれやってみていいですか?」

「は?」


 コイツ、正気か?

「乃音も可愛いから、羨ましくなっちゃって」

「……あーなんだろ」

 いいって言ったら親としてどうって感じだけど、きっと乃音は嬉しいよな……?

 あーもういっか。

「ご勝手に」

「わかりました。乃音来て」

 部屋を片付けていたであろう乃音が部屋からすぐ出てきた。

「なぁに?ユキセくん」

「ふふっ、ちょっと真似っこするだけだからね」

「へっ?」

 ギュッと抱き寄せられた乃音にキスしたユキセ。

 小学生で……。

「んっ……!」

 にしても、結乃と似た反応してんな。

 って、俺はなにか親としてやっぱり失格な気が……。

「ふぁ……」

「許してくださいって言ってみて。あと大好きも」

「ゆ、ゆるちてくだしゃいっ……だいしゅきでしゅっ……」

 あー可愛いなぁ乃音も。

「よくできました」

「ふぁっ……」

 あっ、気絶した。

「わ〜すごいね〜」

「真似しただけですよ。ふふっ、それより乃音とキスできたことが嬉しいですけど」

「あはーそれはヨカッタネー」

 棒読みでそう言った。

「はい」

 すると、軽く笑みを見せてきたユキセ。

「可愛いですよね〜乃音。本当天使」

「結乃も可愛い〜本当天使すぎて困っちゃうよ……。はぁ……」

 あー本当に寝顔もかーわい。

 死ぬほど可愛い。

 もう、どこにも行かせなくないなぁ。

 本当に閉じ込めたい。

 暗い部屋に閉じ込めて、泣かせたい……。

 それで、俺にギュッて抱きついてくればいい。

「閉じ込めたくなります、この可愛い顔」

「ユキセにもわかる?本当そうだよね、可愛すぎて孤独にしたい。泣かせたいいじめたい意地悪したい」

「ですよね、泣き顔可愛すぎる」

「泣き顔見たことあるの?」

「はい、いじめられてて助けた時泣いてましたから」

「ちなみに、名前はわかる?」

「はい、安藤と、兼城と、夜月です」

「ありがとう」

 厳重注意しないと。

 名前を覚えていたということは、やはり今度知らせてくれようとしてくれていたのだろう。

 やっぱり、気が効くヤツだな。

「ちなみに、どんなところが好きなんだ?」

「可愛くて、なにごとにも一緒懸命頑張って、純粋なことですかね。鈍感なところも。あ、でも無自覚で、すぐ周りの男をメロメロにするところも、厄介ですけど可愛いから好きですね。あとは、他の女子みたいに頑張ってオシャレしたり、友達思いなこと、人に優しいことですかね。まぁ、人だけじゃなくて動物にも優しいですけど。あと、嫌われている人にも気軽に優しく声をかけてあげるところとか可愛すぎて好きですね。他は、クラスの人とかに褒められたり喜ばれるのが好きで、日頃から喜んでもらう為に頑張っていることも。それに、真面目でなにごとにも取り組むところも好きです。というか好き好き言ってますけど本当のところ大好きですね。いや、愛しています。乃音さんの全てが愛しくて仕方がないんですよね。あ、色々と言ってしまってすみませんでした。でも可愛くてたまらないんですよ」

「ぷっ、俺とおんなじ。スゲ〜めちゃくちゃ言うじゃん。でも、本当はそれ以上あるんでしょ?」

「よくわかりましたね、もちろんそうですよ」

「やっぱり、君は信用できるよ」

「それはよかったです」

 にしても、よく噛まずにあんな長文言えたなぁ……。

 まぁ、それぐらい好きってことだと思うけれど。

「今日は、何時までいる予定?」

「あまりお邪魔させて頂いていると迷惑なので、もう少ししたら帰ろうかと思ってます」

「そう?あ、よかったら乃音と夜ご飯食べてあげてよ」

「いいんですか?」

「うん、いまので君を認めたよ、これから学校で僕が側に居られない時は、君が乃音を守ってね」

「はい、言われなくても守りますし、守ってますよ」

「そう?ありがとう」

「いいえ、めっそうもない」