「なによソイツ!!最低ね!!よくも私の結乃に!!」

「あ、は、大げさだよ……?」

「全然大げさじゃないわよ!!」

 “私の結乃に”は、余計だけれど、そう思ってくれて嬉しかった自分もいる。

「はぁ……で、鈴くんとキャラ被りと?」

「あ、うん!可愛かったよ!えへへ、あの二人がそろってると癒しだね」

「もー!このこの!どの口が言うのよ!」

 色々楽しそうに喋っててよかった。

 まだ泣いていたらどうしようかと思ってしまったから。

「えへへ、ギュッて苦しいよっ……!でも、嬉しい……!!」

 あー俺はいま天使を見ているのか……。

 なんて幸せなんだ……。

「結乃、今日時間あるかしら?」

「放課後?」

「そうよ」

「うん、今日は特に用事とかないよ!!」

「ふふっ、よかったわ。じゃあ服でも買いに行かない?」

「いいよ!」

「やった〜!」

 再び抱きしめ合った二人。

 可愛いなぁ、結乃……。

 思わず、「はぁ……」と大きなため息をついた。

 早く、謝罪させる流れにしないと、距離が開いて行ってしまう。

 ということで、韡月先輩に頼もう。

 と思い、あっという間に連絡をしておいた。

 今日買い物に行く時、俺に謝らせる雰囲気作ってくださいって言ったら、「あー別にいいわよ」ってすぐ言ってくれた。

 あの人は相当のお嬢様だけど、いい人だから、きっとやってくれるだろう。

 はー今日はもう暇になっちまったなぁ。

 そのまま休み時間になり、なにやら廊下が騒がしかった。

「キャー!!新城先輩ー!!コッチ向いてー!!」

「ギャー!!もう鈴様可愛い〜!!」

「チッ」

 なんだよアイツら。俺の噂、知らないのか?

 はぁ……一年って面倒だ。

 後輩なんていなくていいのに。

「わー!!可愛い後輩ちゃんがいっぱいだぁー!ぷぷっ、僕うれち〜!!あ!でも、そんなに声出すと可愛い声が枯れちゃうから、気をつけてね」

「キャー!!!!」

 ったく、ギャーギャー騒ぎやがってうるせぇな……。

 あーコイツら目の前から失せてくれないかな……?お願いしたら消えてくれるかな?

 まぁ、俺の強さをわからせる為にも、いいかもしれないな。

「ねぇねぇ君達、僕の耳痛いし、結乃先輩よりぜんっぜんブッスいから消えてくんない?その方が僕は嬉しいんだけど……」

 必殺、可愛い顔と声しておいてちょー毒舌。