「お前、さいてーだな、結乃先輩キスされてたぞ……？」

「知ってるよ」

「じゃあなんで！？」

「ふふっ、僕ヤンデレになってきたらしい」

「は？」

「結乃に心から謝らせて、俺がいないと生きていけなくする、で、俺しか見えなくして、周りは消し去って〜」

「こ、怖えよ！！」

「なにガクガク震えてんだよ、男だろ？」

「い、いまのは誰でも怯えるだろ！！」

　？、なんで怯えるんだろう？

　やっぱり俺だけおかしいのか？

　自分がドンドンヤンデレになって来てることはわかる。

　だけど、本当の本当はみんな思ってるだろう？自分の可愛い愛しい人の泣き顔はすごく可愛く、孤独にして自分だけを愛していて欲しいって。

　逆に違うのだろうか……。

　まぁいい、周りの男がどうだろうと結乃に好意がなければいいんだ。

「まぁいい、結乃を見てるんだから邪魔しないでね」

「ちょ……」

「あ、やっぱり君におつかいを頼んであげるよ」

「な、なんだよ……！？」

「報酬もあるよ？」

「なに？」

　少し興味が出たのか、さっきより勢いがよくなった気がする。

「報酬は、韡月先輩に水月のこと好きって言わせるように導いてあげる」

「！！それは、本当か？」

「うん、僕は嘘つかないよ？」

「わかった、で、なにをすればいいんだ」

　よし、乗ってくれたな。

「木原冬人ってヤツと話つけて。結乃は俺のだって言っておいて」

「は？んなことぐらい自分でや——」

「ははっ、甘いな」

「っ、なんだよ？」

「嫌な予感がする」と水月の顔に書いてあった。

「まずはお前でビクらせて、そのあと俺が殺す。な？いいだろう？」

「っ、急にキャラ変えるなよ……」

「ふふっ、キャラ崩壊もいいと思わない？僕は、腹黒が見えていいと思うけど」

「あははーそうだなーお前は」

「うん！じゃあ水月くん！よろしくね」

「あーはいはい。全ては韡月の為でーすよ」

　よし。怯えさせてやる。

　結乃にキスした罪は重い。

　本当なら死刑だけど、そうじゃなくしてやってるだけ感謝しろって話なんだよ。

「じゃあ、休み時間でいいよな」

「うん、ありがとう」

「はぁ……」

　深くため息をついた水月。

　あとは、韡月先輩に好きって言わせるのと、結乃にごめんなさいを言わせるのみだな。

　勉強めんどくさ……

　ということで、担任にバレないようにスマホを見て、結乃達のおサボり様子を確認していた。