って言うか結乃逃げちゃってるよ。

 よし、じゃあ別のカメラを見ようと。

「っぅ……」

 カメラを切り替えて、出てきたのは泣いている結乃だった。

「ひっく……鈴くん……ごめんなさいっ……!ごめんなさい……!!」

 人目につかないところに行き、一人で泣いている様子だ。

 っ……慰めに行きたい……。

 だけど、まだダメだ……。

「結乃!!」

「い、つちゃん……?っぅ……」

「どうしたの、こんなところで……!!」

 韡月先輩か……。

 なんだか少し嫌な予感がする……。

「あのにぇ……、っぅ……」

「よしよし……言ってごらん?」

 優しく結乃を抱きしめた韡月先輩。

「り、鈴くんのにっ……っぅ……ひっく……おこらちぇちゃって……、ちょちたら……ひっく……冬人きゅんにっ……チュッてされちゃ……」

 っ……!!クソッ、なんだよめちゃくちゃ可愛い……早く閉じ込めたい……!!

 こんな結乃を直接見てる韡月先輩が羨ましい……!!

 はぁ……、鎖でも繋いで、より一層孤独にして、早く俺の側にいて欲しい……!

「なによソイツ!!私が話つけてやるわ!!」

「っぅっ……あいがと……いちゅちゃ……だいちゅきっ……」

「もー!!このこの〜!!可愛んだからぁ!!」

 あーズルい……韡月先輩にも嫉妬するんだけど……。

 韡月先輩は、優しいけれど、いま抱きしめてるのには嫉妬してしまった。

「もうホームルーム始まるから行きましょう?」

「うんっ……」

「あっ、やっぱりサボろうかしら」

「へっ……?」

「泣き顔、見られたくないでしょう?」

「っぅ……うんっ……」

 シュンと眉を下げた結乃に、思わずスマホから見てたのでスクリーンショットしてしまった。

 なんなら、ビデオだって撮っている。

 にしても、韡月先輩は結構毒舌だと思うのに、結乃には優しくしてくれている。

 やっぱり感謝しないとな。

 こんど水月に好きなものでも聞いて、送らせてもらおう。

 まぁ、韡月先輩の財閥力ならなんでも買えそうだけど。

「鈴!」

「わっ、水月」

 イヤホンしてたから気づかなかった……。

「なにしてんだよ」

「防犯カメラ見てるの」

「は?なんでお前が?」

「財閥力で、学校に取り付けてもらった」

 星をつけるかのようにそう言うと、「うゎー」と全て察したのか、わかりやすく引かれた。