「おい、お前調子乗ってんじゃねーよ」

 鈴くんのワントーン低い声が降ってきて、思わず怯えるのではなくビックリしてしまった。

「す、すみません!!」

「で、もういいから、帰れ」

「あ、はい、すみませんでした」

 男の子はそのまま去って行ってしまった。

「はぁ……、本当男って結乃の目に毒だね、僕以外」

「り、鈴くん、それはヒドいよっ……?」

「あっ……ごめんなさいっ……」

 キュンッ!!

「か、かわゆい!!」

 思わずギュッと抱きついてしまった。

「可愛い、ずるいよ鈴くん……!」

「っ、結乃のかわゆいってヤツの方がかわゆかったよ?」

「っ……!!」

 り、鈴くんは甘すぎる!!

 すぐ照れちゃうこと言うっ……!!

「あ、あの、鈴くん……!」

「なあに?」

「私、やっぱり鈴くん大好き……!」

「どうしたの急に」

「なんか、急に好き好きって思った!えへへ」

「っ、可愛い。僕も大好きだよ」

 額にキスされて、ドキドキしながもその温度から幸せがジワジワと感じられた。

 鈴くんのベージュと金色が混ざったような綺麗なの髪の毛ヒラヒラと風に吹かれて揺れている。

 綺麗だなぁと思わず見惚れていた。

 本当に、鈴くんは可愛いけど、相当のイケメンだ。

 でも、やっぱり声も可愛いし鈴くんは可愛い方がいいなと改めて実感した。

 唯一無二のこの可愛い大切な彼氏。

 私のことを離さないって言ってくれているけれど、実際のところ私が鈴くんにふられないか心配でもあった。

 だけど、鈴くんの声色からしてそんなことはないとわかった。

 って、なにいまそんなことを考えてるの!

「あー先輩可愛い」

 いま、先輩って言った……!やっぱりまだ馴染んでないんだなぁ。

「ありがとう、鈴くんの方が可愛いよ?」

「そう言ってる結乃の方が可愛いから」

「っ……!!」

「あ〜なんか、イライラしてきたなぁ、そこら辺にいる人に喧嘩売って来るね」

「へっ?ま!待って!」

「あ、でも結乃とか言う人がギュッてしてくれたら治りそう〜」

「っ……!!」

 その後、鈴くんのことを精一杯ギュッと抱きしめた。

「ふふっ、それでよいのだ」

「な、なんで急に!」

「急にギュッてして欲しくなったから」

「っ……」

 やっぱり意地悪なところは変わってないそうです。

【side 結乃】end