「オウ、邪魔するな」

「黙れスズ」

 え……?

 き、聞こえなかったことにしよう?

 さく先輩が、オウなんてことは、あるのか……な?

 ぅ……、無いとも言えない……。

「バイトがあるから行くな」

「あーさっさと消えてくださーい」

「ひっ……」

「……!?……」

「なにしてんだよバカ……」

 そう言って千瀬さんがため息をついたのがわかった。

「ご、ごめんね先輩……!怖かったよね……?本当にごめん!……」

 ギュッと抱き寄せてよしよしと言わんばかりに背中を優しく撫でてくれた鈴くん。

 その姿が、あまりにも嬉しくてついにこにこ微笑んでしまった。