そのあと先輩にたくさん抱きしめてもらいながら、クロマスク美少女の正体は明かさずに、その日は過ぎた。

 そして、俺に災難がこれから起きようとしていたなんて、俺達に知る由もなかった——。


 次の日、俺は行きたいところがあった。

「先輩、ちょっとスマホかして」

「あ、うん」

 可愛いスマホだなと思いながら、ホーム画面が前に2人で撮った写真が写っていて、とても嬉しくなった。

「えっと、あ、あった」

 水月って、真冬っていう名前なんだな。

 なんか、男と勘違いされそう。

 プルルル。

[はいもしもし]

「水月か?」

[は?あんた誰、結乃ちゃんの携帯取ったわけ?キモ過ぎんでしょ]

 このクソ毒舌やろうめ。

「うるせぇ、お前に話がある、あとで俺の屋敷まで来い」

[無理]

 プツッと切れた電話。

「ッチ」

「り、鈴くん、真冬ちゃんになにか御用があるの?」

「うん、頼みたい事があって」 

「頼みたい事?」

「うん」

 これからもしかしたら関わってくるかもしれない事だから。