『いらっしゃいませー』

 やる気をなく返事をする。

『あ、え、えっと……』

『……何名さまですか?』

『ひ、1人ですっ……!』

 初めて1人で来たらしく、随分と不器用だった。

 “可愛いって、思ったんだ。”

『君、桜夜学園?』

『あ、はい!』

 そう言って微笑んできた彼女に、思わず頬が緩んだ。            

 慌てて口辺りを腕で隠した。

 すると彼女は軽く首を傾げた。

 ……可愛い。