「なつめくん、」
「なに」
「ドタキャンされたんでしょ」
「……、うん?」
来てくれて嬉しいけど、来てくれたことを認めたくない。
だって。そしたら。また。
他の女の人といるのを見て我慢しなきゃいけない。今度こそわたしかもって、連絡を待つのはもう疲れたよ。
「3年生の先輩との約束が、だめになったから、わたしにしたんだよね」
「……なんでおまえが先輩とのこと知ってんの」
「……」
「まあいーや。ドタキャンしたのはおれのほう。先輩怒ってた、茉結のせいで」
突然の責任転嫁。
逢坂 棗はときどきでたらめなことを言う。
「わたしのせい?」
「言ったでしょ。おれがどうしてもダメになったときに茉結を呼ぶから相手してって」
「……、だから、ダメになったんでしょ、先輩との予定がなくなって、ダメになったから、非常用のわたしに連絡したんじゃ、」
「茉結って」



