□ 「だめ」 李々斗のお母さんは仕事の都合で帰りが遅くなるらしく、今日は李々斗と二人で夜ご飯を食べた。甘口のカレーを食べて、それから順番でお風呂に入って。 それで、今。 「なんっっっでえ!?」 「うるさい楓莉」 「だってだって、納得できないじゃん!」 「だめ、無理、ぜったい嫌。あぶねーじゃん」 「あぶなくない!」 「皿とか毎回割ってそう」 「りりわたしのことなんだと思ってるの!」 ソファに座ってテレビを流し見する李々斗は、わたしの「バイトしようと思う」発言をコンマ3秒で切り捨てた。