「可愛いよ楓莉は」

「なっ……、ぐぇ」




不意打ちでそう言われ、ムギュ、と鼻をつままれた。可愛いって言ってくれた顔を李々斗の手によって変な顔にされる。


優しいのかからかってるのかわからないじゃんか。李々斗のばか。




「今日は俺の勝ちな」




ふわり、李々斗が笑う。

さっきまで怒っていたのが嘘みたいにご機嫌になるんだから……ほんと単純。





「別に何も勝負してない!」

「はいはい」




何も勝負してないし、
なんの勝負かも分からないけれど、


李々斗が楽しそうだから特別に許容してあげてもいいよ。