「……、なぁ楓莉」 「ん?」 「そんなに距離詰めてきてさ、俺、なにするかわかんねーよ」 「……ん?」 どこかで聞いたことのあるセリフ。 このシチュエーションはたしか、まだ記憶に新しい────今朝見た夢によく似ている。 「…楓莉」 首を傾げた李々斗の顔が徐々に近づいてくる。 わたしの名前を紡いだその唇が、やけに色付いてみえたのは、きっと気のせいではない。 伏しめがちな彼に釣られるように目を閉じる。 ああ、夢の続きをこんな所で見ることになるなんて────…