楓莉は俺のことが好きだ。


だけどそれは恋としてじゃなく、幼馴染として。



昔からずっと一緒にいるから、家族のような存在に思ってくれているだけ。

俺だけがずっと楓莉に好意を寄せている。



自分が抱えている気持ちがあまりにも一方通行だったと自覚して、少しだけ苦しくなった。




俺が好きって言ったら。
付き合ってって伝えたら。



そうしたらきっと楓莉は「わかんない」って、困った顔をすると思うから。



だから、決めたのだ。

これからも変わらず楓莉にとっていちばん近い存在であるために───俺の気持ちは自分の中にとどめておこうと。