「そうなんだ」
「真面目だよな。誰かさんとちがって頭もいいし、胸でけーし」
誰かさん。
時雨にとっての誰かさんは星の数ほどいる。
“女の傷は女で癒やせ”
それを地でいく男だから、いままで彼女が途切れたためしがなかった。
『俺、いつか女に刺されて死にそう』
わたしと付き合う前、ダブルブッキングが原因で時雨の三股がバレたときがあった。
頬を腫らせて笑いながら言っていたけど、それはあながち当てずっぽうでもないと思う。
たくさんの女性から好意を買っていた時雨は、同じくらい恨みもいただいていたから。
閑話休題。



