きみは微糖の毒を吐く






絢斗くんの家に行く前に、お菓子でも買っていこうかな。


そう思って、学校から絢斗くんの家までの間にあるショッピングモールでお菓子を見る。


おいしそうなチーズケーキがあったので買って帰ろうとした、瞬間。





「っ……!」





少し前に、見覚えのある制服の後姿を見つけて、足を止める。


止めたというか、足がすくんだ、のほうが正しいかもしれない。



肩くらいの長さの茶色い髪。真っ赤なリップに濃いメイク。セーラー服の短いスカート。


ドクン、と心臓が跳ねて、呼吸が浅くなる。


こっち、向かないで。
私に気付かないで。



そんな願いもむなしく、彼女はふと後ろを振り返った。





「……あれ、乙葉じゃん」