「嫌だ」
「……そ、っか」
きっぱりとした拒絶にそれ以上何も言えなくて、ゆっくり視線を落とす。
今日は全然喋れなかったから、少しでも一緒にいたかったけど。
でも付き合ってもらえてるだけで奇跡みたいなものなんだから、ワガママ言っちゃダメだよね。
しゅんと肩を落とす私に、絢斗くんは。
「今日は家にいるから、後で来れば」
「え……」
「じゃあ、あとで」
それだけ言って、先に帰ってしまった絢斗くん。
今日も、家に行っていいの……?
絢斗くんが家に呼んでくれる頻度は気まぐれだけど、この前お邪魔してからあまり日にちは経っていない。
一緒に帰れないのも、修学旅行の班が別なのも悲しいけど。
それでも単純な私はこれだけで少し嬉しくなってしまった。



