「お前、俺にとって自分は何だと思ってんの?」
「え……都合のいい女、とか?」
私がそう聞いた瞬間の、絢斗くんの泣きそうな顔が頭から離れない。
「あ、そう。お前はそう思ってんだ」
「だって……」
「もういーや。俺帰るわ」
「え、絢斗く……」
くるりと背を向けた絢斗くん。
その寂しそうな背中を見つめたまま、私は動けなかった。
なんでそんな悲しそうな顔するの。
だって絢斗くん、私のこと好きじゃないでしょう?
好きだなんて一度も言ってくれたことない。
付き合ってることは誰にも秘密。
外でデートはしない。
会うことも少ない。
連絡はほとんどしない。
学校でも話さない。
たまに会う日はいつも絢斗くんの部屋で、そういう目的で付き合ってくれてるのかなって、だから最後までしたら捨てられてしまうんじゃないかなって、思ってた。



