今日は親が仕事で遅いから誰もいないリビングを通って、玄関を開ける。
絢斗くんが少しきまり悪そうな顔をして、私の目を見た。
「……ごめん、言いすぎた」
絢斗くんが私に謝ってくれるのは珍しくて、少し驚いてしまう。
「これ、お前が好きだって言ってたクッキー」
「え……」
絢斗くんが差し出した紙袋の中身は、前に絢斗くんが差し入れで貰っていた高級クッキー。
私がすごく美味しいと言ってたの、覚えててくれたってこと……?
わざわざ、買いに行ってくれたの?
絢斗くんが私の機嫌を取るのに頑張ってくれたんだと思ったら、泣きそうなくらい嬉しくなってしまう。



