メッセージを開くことすらできずにいると、またスマホが光る。
『柳絢斗:ちょっと出て来て』
『柳絢斗:お前の家の前にいるから』
驚いて、思わず「え」と声が漏れる。
絢斗くんが家の前にいるの……?
そっとカーテンを開けて、家の前の道路を見てみる。
「嘘……」
暗くなった道路で、確かに私の家の前に立っている絢斗くん。
あの面倒くさがりで冷めた絢斗くんが、私のためにわざわざ来てくれたの……?
2階の窓から見ていると、ふと顔を上げた絢斗くんとぱっと目が合う。
目を見張った絢斗くんが、「乙葉」と、いつもよりもはっきりと名前を呼ぶ。
それだけで私はなんだかすべてがどうでもよくなってしまって、「待ってて」と慌てて部屋を出た。



