「……あの、絢斗くん」

「なに」

「何か怒ってる……?」

「別に怒ってないけど」



嘘だ、絶対怒ってるくせに。




「……じゃあ何か言ってよ」

「お前こそ何も喋らねーじゃん」



それは、きっと今この瞬間のことじゃない。


……前の学校で何があったのか、毎日会いに来る風間くんはなんなのか、梨乃ちゃんの言ってたことは本当なのか。


きっと絢斗くんだって聞きたいことはたくさんあるだろう。


それはわかってる。


私だって、そろそろ話さなきゃいけないんだろうなってことはわかってるけど。



それでも私、絢斗くんに嫌われるのが何より怖いんだよ。