「……帰るか」




私が何も話したくないことを察したのか、絢斗くんがそう言って歩き出す。


私も黙ったままそれに着いて行く。



駅に着いて、振り返った絢斗くんが少し寂しそうな顔をしていたから、なんだか泣きそうになった。




「どうする?」




どうする?っていうのは。

このまま絢斗くんの家に帰るか、ここでお別れしてそれぞれの家に帰るかっていうことだろう。




「……今日は、帰る」

「ん、わかった。気を付けて」



絢斗くんに見送られて、1人で電車に乗る。
絢斗くんの目は一度も見られなかった。