「やっぱ絢斗みたいなイケメン?
木村さんも絢斗のファンだもんなー」



ファンというか、一応付き合っているはずだけれど。

そんなことは言えるはずもないので、へらりと笑うことしかできない。




「木村さん、転校してくる前はどうだったの?彼氏とかいたのー?」



三島さんのその質問に、思わず肩に力が入る。前の学校で……。



「……い、ない」



自然に振舞ったつもりだったのに、声は思いのほか震えていた。




「へえ、でもモテたんじゃないのー?告白とかいっぱいされてそう」

「っ……そんなこと、ないよ」




こわばった私の表情に、三島さんが眉をひそめて怪訝な顔をする。




「え、何?どうかしたの?」

「な、なんでもない……」



苦手だ、こういう空気も、三島さんみたいな女の子も。

ある人を彷彿とさせるきつめの喋り方とか、悪意が伝わってくる感じとか。


ぎゅ、と少し長めのカーディガンの袖を握って、下を向く。