「俺、こいつと部屋戻るわ」
「え、ていうかその子誰……」
パーカーで顔が隠れているから、彼には私が誰だか分からないみたいだ。
「三島たちには何か適当に言っといて。
あとお前しばらく部屋戻ってくんなよ」
「わ、わかった!邪魔しない!」
「じゃーよろしく」
そう言ってパーカーをかぶせられた私の肩を寄せて、歩き出す絢斗くん。
視界が暗すぎて何も見えないまま、絢斗くんに支えられるようにして歩くしかない。
「おい絢斗、その子誰なの!?」
やっぱり彼はそこが気になるみたいで、後ろから叫んでいるけれど。
「内緒」
絢斗くんはそれだけ答えて、私を連れて歩いた。



