「……何してんの?」
自分の部屋の前でもない廊下でうろうろしている私はどう見たって不審で、絢斗くんの冷たい言葉ももっともだ。
「それ、は」
絢斗くんが女の子の部屋にいるのが嫌で様子を見に来た、なんて絶対に重いし気持ち悪いし、最悪の場合嫌われそうだし。
だからといって他の言い訳が一つも思い浮かばない。
「なに、俺が女の部屋にいるの心配だったの?必死かよ」
は、と乾いた笑いで私を見下ろす絢斗くんは、たぶん怒ってる。なんだか不機嫌だ。
いつもこのくらい冷たいけれど、いつもは冷たさの中にもちょっとだけ優しい顔が見えるのに、今日は機嫌が悪い。
でもどうして怒ってるんだろう。
私がこんなところまでついてきて気持ち悪いから?



