きみは微糖の毒を吐く




ああもう、部屋に戻ろう。


ここにいたって中から楽しそうな声が聞こえて悲しくなるだけだし、だからと言ってここに突撃する勇気なんてないし、早く戻ったほうがいいよ。


……そう思うのに。



「ねえ王様ゲームしようよ~!」
「おー!やろうぜ」



中からそんな声が聞こえてくるから、また不安になってしまう。


絢斗くんが、他の女の子に取られちゃったらどうしよう。王様ゲームでキスなんかしちゃったらどうしよう。

触れちゃったら、どうしよう。



……そんなの絶対に嫌だよ……。





泣きそうになりながら廊下をうろうろしていると、突然ガチャっと開いたドア。

驚きすぎて肩をびくっと揺らしてドアの方を振り返ったら、三島さんの部屋から出てきたのは絢斗くんだった。