「なあ絢斗、これ見ろって」
「はは、何それ」
立ち聞きなんて良くないと思いながらもドアの前に立ち尽くしていたら、部屋の中からそんな声が聞こえてズキンと胸が痛む。
……本当に、来たんだ。
絢斗くんはなんだかんだ言って、そういうの面倒だからって、女の子の部屋になんか行かないんじゃないかって思ってた。
……絢斗くん、三島さんのこといいなって思っちゃったのかな。
修学旅行がきっかけで付き合い始めるカップルはたくさんいるって悠里ちゃんが言ってたし、絢斗くんももしかしたらそうなのかもしれない。
……でも私、彼女なのに。
一応だけど、付き合ってるのに。
他の女の子の部屋になんて行かないでよって、言えないのはどうしてなんだろう。



