「海入ろーぜ」
絢斗くんは思い立ったように私の浮き輪を引いて、ずんずんと海に入っていく。
冷たい水が肌を包んで、ひんやりと気持ちいい。途中まではよかったんだけれど。
「あ、絢斗くん待って!もう足つかないよ!」
「……」
どんどん深いところに入っていく絢斗くんに必死で訴えるのに、絢斗くんは無視。
全然聞いてくれないし、止まってもくれない。
私の身長ではもう足が届かなくて、浮き輪のおかげで沈まずにいられるけれど、不安定な状況はどうしても怖い。
絢斗くんはモデルで高身長だから余裕かもしれないけど、私は泳げないんだよ!?
「絢斗くん、止まって……」
半泣きでそう訴えた私に、彼はやっと足を止めてくれた。



