「なあ木村さん、このお菓子食べる?」
と、前の席から声を掛けてきたのは、宮崎くん。
差し出されたお菓子に、「ありがとう」と手を伸ばしたら。
「っ!?」
太もものあたりをつーっと指が這って、驚いて息が漏れる。
膝に掛かったブレザーの下。
絢斗くんの手が、私の脚に触れている。
「どうかした?」
何も知らない宮崎くんが、きょとんとした顔で私を見る。
「な、なんでもない!」
ひきつった笑顔でそう答えるけれど、絢斗くんの手は止まってくれない。
必死に絢斗くんに視線を送って訴えるけれど、当の本人は涼しい顔でスマホを見ている。



